He'll kill me.
最近、夢をよく見る。
ずっと眠っているせいだろうか。
今日の夢はとてもしんどかった。
それは過去だった。記憶にある。
パルスオキシメーターがあって、その数値は87%だった。喘鳴が治らず息苦しかった。呼吸ができなくてしんどくて、涙を溜めながら笑顔を作って、私は平気だよって言う。
ふと、目が覚めて、溢れる涙で現実だと分かった。
そこに居たのは、首を絞められている自分だった。
苦しいと言う声は声にならなくて、手を退けてくれることもなくて、でも、彼は寝ているから私にはどうすることもできなかった。
彼も私は寝ていると思っていたのだろうか。
朦朧としながら、このまま殺されるのだろうかなどと考えていたら私の携帯が落ちて、その衝撃音で彼は手を退けた。
同日、彼が帰宅して、私は最近ずっと眠いと言う話をした。
夜更かしのしすぎだとか言われたが、私は笑いながら『今日に限ってはあなたに首を絞められたよ、記憶にある?』と聞いた。
そしたら彼は「あるよ」と言う
私は恐怖の感情を隠して笑顔を繕って、『自覚があったの?』とさらに聞き返した。
「うん」
私は何も言えずにその場から離れた。
どうやら彼は私を精神的に支配しているだけでは飽き足らず、物理的にも支配したいらしい。
私は殺されるのだろうか。
まぁいい。
人生への未練なんてものはとうの昔に消えた。
やりたいことはたくさんある。
時間が足りないくらい。
でも未練と言うには遠く及ばない。
日曜日は、彼女に会うらしい。
彼が言った。
私は彼にとってメリットがないから殺されないだろうと思っている。
彼にとってメリットがないから、不倫なんてしないだろうと思っている。
人類がメリットとデメリットの判断で生きているなら殺人は起きないだろうか。
いや、殺人の方がメリットだという証明ができるなら、それがその人にとってのメリットなのだろうか。
不思議と殺意もなければ、殺したければ殺せばいいと思っている。
他人様に同じことが言えるかと聞かれれば勿論否であるが。
《▶︎いのちだいじに》